三中 信弘 (独立行政法人農業環境技術研究所)
三中 信弘 (農環研・生態システム・環境統計)
河田 雅圭 (東北大・理・生物)
村上 哲明 (京大・理・植物分類)
大野 克嗣 (イリノイ大・物理)
生物多様性を研究対象とする多くの生物科学分野にとって, 多様な生物の理解のためにいかにしてそれを記載・登録・整理するかは常に問題となっていた. とりわけ,昨今ますます深刻化しつつある生物相の絶滅の脅威に急かされるように, 生物のデータベース構築が国家の枠を超えた世界規模のプロジェクトとなりつつある. その一方で,ここ数年の体系学の論議の場に足を踏み入れると,種概念・分類群の認識・ 命名規約など生物多様性のもっとも基盤となる概念体系をめぐって,これまでにない論争が戦わされている. グローバル化し続ける分類データベース事業と生物体系学における論議とを 今後どのように結び付けていけばいいのだろうか?
今回のシンポジウムでは,生物多様性の理解という大きな目標を念頭に置いたデータベース構築にまつわる いくつかの理論的な問題に焦点を当てながら,「生物を記載する」という極めて実践的な問題につなげていけるような 議論の場をもちたいと思う.